子どもの歯並びが
悪くなる原因
(遺伝的要因は除く)
For children
(Causes of
malocclusion)

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子どもの歯並びが
悪くなる原因について

近年、矯正歯科治療を受けるお子さんが増えています。それは、歯並びが悪いお子さん自体が増えているからです。では、なぜ子どもの歯並びが乱れるのでしょうか? こちらでは大阪市・天王寺・阿倍野区の「木下矯正歯科」が、子どもの歯並びが悪くなる原因についてご説明します。

どうして歯並びが悪くなるのでしょうか?

  • 「歯並びがガタガタに乱れている」
  • 「すきっ歯があるけど大丈夫かな?」
  • 「出っ歯が気になってしまう」
  • 「受け口を治してあげたい」

お子さんのお口を見たときに、上記のように歯並びの乱れが気になったことはありませんか? こちらでは学校歯科医として数多くの子どもたちのお口の健康診断を行い、矯正歯科治療経験も豊富な当院の院長が、歯並びが乱れるメカニズムをご説明します。当院では原因からしっかりと理解し、矯正歯科治療を受けることが大切だと考えています。

まず、遺伝的な要因の出っ歯や受け口は子どもの時から矯正歯科治療を行っても意味のない場合があります。しっかりと検査し、きちんとした診断を行った上で治療すべきかどうかを判断します。

お口周りの舌の筋肉が歯並びに影響を与えます

出っ歯、受け口、ガタガタな歯並び、咬み合わないなどといった多くの不正咬合は、歯の生え方はもちろんの事ですが、歯を支えるハグキ部分の骨(歯槽骨)やアゴ全体の骨である上下の顎骨の位置異常や発育異常によっても生じます。この位置異常や発育異常の原因として考えられるのは、一つは遺伝因子、もう一つは成長発育時の環境因子です。後者の「成長発育時の環境因子」とは、成長発育時(つまり、生まれてから16歳位まで)に歯槽骨や顎骨にかかる外力のことを指します。

他の場所でもともと骨が大きくなる様な遺伝的因子により成長した部分の外力などもありますが、特にハグキ部分の歯槽骨に影響を及ぼす外力として、歯槽骨周りの筋肉の圧力が挙げられます。その代表的なものは、ハグキの内側にある筋肉の塊である「舌」舌圧と外側にある頬や口唇の筋肉の圧力です。

お口周りの舌の筋肉が歯並びに影響を与えます

こちらは歯列の形成に影響するさまざまな力を表した図です。赤い部分は歯槽部を表し、赤い部分の内側が舌、外側には、頬、口の周りの筋(頬筋・口輪筋)が存在します。画像上が上顎、画像下が下顎となります。

外側の矢印:頬筋や口輪筋から上顎、下顎の歯槽部にかかっている力を表しています。
内側の矢印:舌によって歯槽部にかかっている力を表しています。

歯並びは外側・内側からかかる力のバランスが偏ることによって変化します。以下では力のかかり方によって起きる「悪い歯並び」の例をご説明します。

受け口になってしまう原因(遺伝的要因は除く)

受け口は、舌が低位(通常より低い位置にあること)である場合に起こりやすくなります。下図は「上顎は外側からお口周りの筋肉に押されているが、舌が低い位置にあるため内側からの力がかからず、一方的に外側からの力がかかっている」という状態です。

受け口になってしまう原因

このように力のかかり方に偏りができると、「内側から舌に押されている」下顎に比べ、内側からの刺激が少ない上顎歯槽部の成長量が小さくなります。また逆に、舌圧の刺激を受けて下顎歯槽部の成長量が大きくなることで、上下の歯槽骨成長量のバランスが崩れて受け口になってしまうのです。

受け口を招くクセ

以下のようなクセがあると受け口になりやすくなります。

下顎を前に出す

下顎を前に突き出すクセがあると、受け口になりやすくなります。

だらんと口を開けている

力なく「だらん」と口を開けていると、舌は低位になりやすく受け口の原因につながります。また、下顎を持ち上げる筋肉が弱くなり、下顎の下方向への成長が大きく生じることで開咬(かいこう)の原因にもなります。

口呼吸

口呼吸を続けていると、舌の位置が下がり気道を狭くします。そこで気道を確保するために下顎を突き出すようになることで、受け口を招いてしまいます。

出っ歯になってしまう原因(遺伝的要因は除く)

出っ歯は、舌が通常より前に位置することで発生しやすくなります。

下図のように「舌が前方位をとることで、舌によって前方向に力がかかっている」状態が続くと、舌で前歯が押し出されるのと同時に頬の筋肉が内側に作用します。そうなると歯槽部の後方(奥歯の部分)は外側からかかる力が大きくなり、歯槽部全体がV字型に変形して出っ歯になってしまう場合があるのです。

出っ歯になってしまう原因

出っ歯を招くクセ

以下のようなクセがあると出っ歯になりやすくなります。

離乳食で
やわらかいものばかり食べている

やわらかいものばかり食べて奥歯で噛む習慣をつけないで育ってしまうと、歯列の真ん中より前方で噛むクセがつき、舌は前方位をとるようになってしまいます。これは、出っ歯を招く原因の一つになります。

背中を丸め
下向き加減で食事をしている

姿勢が悪く、下向き加減で食事をしていると、前方の歯で食べ物を噛んでしまうため、舌を奥歯付近まで動かす筋肉の発達が悪くなります。これも出っ歯を招く原因になります。

実際に奥歯で噛める
咬めるか試してみてください!

下向き加減でものを食べると奥歯で噛むことができません。本当に噛めないのか、ガムを使って簡単に体験していただく方法があります。

【体験方法】

(1)まず、ガムを口に入れていつも通り噛んでみてください。奥歯や左右の歯、前歯と、どの歯でも噛むことができます。

(2)噛んだまま背中を丸めて下向き加減の体勢になってください。するとどうでしょう? 奥歯で咬もうとしてもガムが前歯の方に転がっていき、奥歯で噛めなくなってしまったのではないでしょうか。

体験していただいたように、下向き加減では意識していても奥歯で噛むのは難しいことがわかります。ご家族の方がお子さんの食事の姿勢を確認してあげることが大切です。

歯列がガタガタになってしまう原因(遺伝的要因は除く)

舌の力が全体的に弱い場合、上下顎の歯槽部は、どちらも内側からの舌筋による圧力があまりかからず、逆に外側からの筋圧が相対的に強くなって、歯槽部(顎)の成長量が小さくなってしまうことがあります。

歯列がガタガタになってしまう原因(遺伝的要因は除く)

歯槽部が小さくなると歯が並ぶためのスペースが不足し、永久歯が重なるように生えて歯並びがガタガタになってしまいます。

ガタガタな歯並びを招くクセ

以下のようなクセがあると、歯並びがガタガタになりやすくなります。

離乳時期が遅れる・やわらかい離乳食を続ける

液体や流動食をのどに流し込むとき、舌は前後運動しかしていません。(ほ乳時の赤ちゃんはこれが正常な状態です)
舌は前後だけでなく、上下や左右に自在に運動させることで舌筋が鍛えられます。また、舌筋が十分発達しなければ、先に述べたように顎も発達しにくくなります。

やわらかいものばかり食べている

やわらかい食べ物は、噛む回数が少なくても食塊(食べ物のかたまり)のまま十分にのどを通ります。しかしこればかり続くと、歯列の前方で噛むクセがついたり、噛んでいる途中で食塊を奥歯の方に送り込む舌の運動を放棄し、舌筋の発達を悪くしてしまいます。

舌筋が十分発達しなければ、先に述べたように顎も発達しにくくなります。

ご両親からの遺伝で歯並びが悪くなることもあります

歯並びの乱れは、お口周りの筋力の影響以外に、遺伝的要素によって生じることもあります。たとえば、受け口や下あごが後退したタイプの出っ歯等といった歯並び、また歯の大きさなどは遺伝することがあるのです。

お父さん・お母さんご自身が悪い歯並びで悩まれてきたという場合には、お子さんにも遺伝する可能性があります。小さいころから歯並びをチェックし、気になる点があれば早めに当院までご相談ください。

歯並びを悪くするクセに注意!

お子さんに、以下のようなクセはありませんか? これらのクセが、歯並びを乱す原因になることがあります。気づいたら、できるだけ早く正してあげましょう。

指しゃぶり、おしゃぶり

指しゃぶり、おしゃぶり

指しゃぶりのクセがあると、指で前歯を押し上げているような状態になり、歯並びを乱すことがあります。また赤ちゃんのときのおしゃぶりは問題ありませんが、3~4歳などになっても続けている場合は注意が必要です。じっくりお話して、やめさせてあげましょう。

唇を咬む

唇を咬む

唇を咬むクセがあると、上下の前歯の咬み合わせを悪くしていまいます。

口呼吸

口呼吸

口を常に開けている状態になり、舌が前方位または低位となることで咬み合わせを乱してしまう原因になります。

舌で歯を押す

舌で歯を押す

舌で前歯を押したり、舌を前に突き出したりするクセも、毎日続けていると歯を少しずつ動かしてしまいます。

片側だけで噛む

片側だけで噛む

片方の顎ばかりに負荷がかかり、咬み合わせを乱すばかりか顎や顔にゆがみを招くこともあります。

ほおづえ

ほおづえ

ほおづえもクセになっていると、歯槽部にかかる外圧となります。また、顎に負荷をかけ続けて歯並びを乱す原因になることがあります。
~食生活や姿勢など日常の習慣から改善しましょう~

お子さんの歯並び・咬み合わせが乱れる背景には、食生活や姿勢など、日常の習慣が大きく関わっています。ご家族が日ごろから気にかけてあげることが、正しい歯並びの育成につながります。次のことを意識して観てあげてください。

噛む回数を多くする!

舌をよく運動させるには、しっかり噛むことが大切です、よく噛む、たくさん噛むことを意識しましょう。

いい姿勢で食事をとる!

背中を丸めたり、前かがみになったりして食べていると、舌の位置は前方に出てしまい、噛むときに奥の歯で噛まなくなってしまいます。いい姿勢で食事をとるように注意しましょう。

食べ物を口に持っていく!

お皿に食べ物を置いたまま、そこに口を近づけるのではなく、食べ物をお口に持っていって食べるようにしましょう。そうすると、姿勢良く咬むことが出来ます。奥歯でしっかり噛み、正しく飲み込めるようになります。